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* * *
平和な日曜を過ごし、月曜日になった。
比菜子はいつも通り出社する。
(ツカサくんはランチ終わりまでのシフトだったから、夕飯一緒だ。今日はなににしようかなー)
「……浅川さん」
「はい」
おそるおそる、篠塚が席へとやって来る。
比菜子は例の件を徹底的に無視する代わりに、あれから彼には決して笑顔を向けたりしない。
(篠塚課長さっさと異動になってくれないかな。ビクビクされてやりにくいのよね)
「なんですか?」
「あ……その、営業企画部の部長たちが浅川さんに話があるらしいんだ。今日これから時間とれるかな? こっちの仕事は金本さんに頼んでいいから」
「え? あ、はい。わかりました」
(私、なにかやらかしたっけ……?)
慌てて手帳やペンなどを準備しブラウスの襟やカーディガンの裾を整え直すと、ドキマギしながら総務部を後にした。
指定された営業企画部の会議室ドアをノックし「失礼します。浅川です」と声をかけると、中から「どうぞ」と返事があった。
「ああ、呼び出して申し訳ないね浅川さん。営業企画部長の加島です」
ガッチリ営業系、という厳しそうな加島と、その隣には四十代くらいのパンツスーツの女性社員が、
「課長の水戸です」
と立ち上がってお辞儀をした。
比菜子も「浅川です」と会釈を返し、促されるままに彼らの対面の来客用ソファに座る。
「さっそくなんですが、今回は浅川さんにご紹介いただいたモニターさんのことでお話があってお呼びしました」
「……えっ」
(ツカサくんのこと?)
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