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水戸はクリアファイルの束からA4の書類を一枚取り出し、比菜子の方へ向ける。
それはツカサに渡して書いてもらったモニター申込書だった。
「ご紹介いただいた早乙女ツカサさんですが、送っていただいた申込み書には現在大学生四年生とあります。ご就職などのお話は聞いていますか?」
(ギクリ)
「いえ……アルバイトをしていますが、就職先はまだ決まってないと思います」
水戸は比菜子の話を、手もとの手帳にサラサラとメモをする。
「なるほど。浅川さんは早乙女さんとどのようなご関係なんですか?」
(ギクリ)
「……ご近所さんです」
(さすがに恋人とは言えない。ごめんツカサくん!)
半信半疑らしき水戸は、目を泳がせている比菜子をじっと覗き込んでいる。
隣の加島は〝ご近所さん〟と聞いてパッと表情が明るくなり、「それはちょうどよかった!」と水戸にさらに次の話へ移るよう合図を送った。
水戸はうなずいて続ける。
「実は今後、社員をひとり選出し、へるすた内に当社を代表して情報発信するためのアカウントを作る企画をしています。そのためのいわゆる〝中の人〟となってくれる社員を探しておりまして」
「は、はい」
「もしも早乙女さんが当社に興味があればですが……ぜひ採用させていただきたいと人事部で結論が出まして」
「えぇ!?」
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