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生徒会長サマは、ヤンキーくんを独占したい!
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★R描写、無理矢理表現あります。
月明かりが、部屋の床を四角く照らしている。その白い光の中に揺れる影は、獣の交わりのようだった。
「やっ、も……っ、むりぃ……」
「無理じゃないだろ、響。こういう時はイイって言うんだって教えたはずだ」
無理に拓かれた最奥に届く楔を、更に奥に押し込むように腰を動かした琉成が、そう言いながら響の背骨をすっと撫でる。その刺激に響は思わず背中をのけぞらせた。
「あぁっ……!」
「うわ、すっごい締まったよ、響。こんなので感じちゃうの?」
くすくすと悪戯めいた笑い声が背後から聞こえる。響はそれが恥ずかしくてたまらなくて、後ろを振り返り懇願した。
「も、いかせて、琉成……おねがい……」
響の目尻から一筋、雫が零れる。それを見た琉成は響に深くキスをしてから、嬉しそうに微笑んだ。
「おねがいできたね、響。最高に可愛い」
琉成はそう言うと、ゆっくりと腰を引き離し、一気に楔を打ち立てた。
「――っ!」
声にならないほどの悦に、響はそのままシーツに白を吐き出した。
琉成とこんなことをする関係になったのは、つい最近のことだ。
高三の四月、この学校特有の人気投票という形で生徒会長になった響は、その特典として寮の一人部屋を与えられることになっていた。今日からようやく四人部屋を卒業できると思ったのもつかの間、突然、琉成が部屋に転がり込んできた。
「倉田、生徒会長最初の仕事だ。二年の千葉琉成を一か月面倒みてくれ」
生徒指導の先生から言われた言葉に、その時の響は呆然とした。聞き返すと、素行の悪い生徒が教師の指導で改善されない場合、生徒の模範である生徒会長が共に生活をし、二十四時間体制で素行監視するのがこの学校の慣例なのだと言われた。
校門前で行う風紀チェックでブラックリスト常連の琉成は、響もよく知っていた。アシメの茶髪に、両耳で四つのピアス、制服のネクタイは、ダサいから捨てたといい、学校指定ではないシャツを着ている琉成はお世辞にも真面目な生徒とは言えなかった。去年まで風紀委員だった響に対し、先輩だというのに『響』と呼び捨てにし、敬語もろくに使わない彼を、周りは疎み、響にも近づくなと言った。けれど当の響は、そんな自由な琉成にひそかに憧れていた。
だから先生から琉成を預けられた時も、内心はすごく喜んだのだ。まさか、体の関係を結ぶとは思っていなかったけれど、体が近づくと心も近づくような気がして嬉しかった。
そう、先生に命じられて呆然としたのは、世の中にこんなラッキーが転がっているのか、という驚き、そのせいだったのだ。
「響、パジャマ着ろよ」
行為が終わり、少し気を失っていたらしい。琉成の声で目を覚ました響がベッドの上でのそりと体を起こす。
「琉成の夢、見てた」
「へえ。初めてオレとやった時のこととか?」
「……まさか。夢に見るほど昔じゃない」
初めて琉成に抱かれたのは同室になって三日目のことだった。琉成が部屋を抜け出し、無断で外泊しようとしていたのでそれを止めると、琉成は、だったら響が相手してよ、とベッドに押し倒した。まだ二週間前の話だ、あの驚きと痛みと訳の分からない体の疼きは忘れろったって忘れられるはずがない。
同じ部屋で過ごせるだけでも嬉しかったのだ。まさか、自分を抱いてくれるなんて、思いもしなかった。しかも、一度だけではなく、こうして何度もしてくれるなんて、響にとっては幸せでしかない。
「まだ響のイイところ、開発しきってないしな」
言いながら琉成は机の引き出しから煙草を取り出した。窓辺に寄り、火をつけて紫煙をくゆらせる。
「琉成、煙草はだめ」
響はパジャマを羽織り、琉成に近づく。その指から煙草を取ると琉成が持っていた携帯灰皿にそれを投げ入れた。
「わかりました、生徒会長サマ」
言葉だけでまるで分っていない琉成が響にキスをする。苦い味のそれに眉をしかめると、琉成は笑った。
「初めてキスした時もそんな顔したな、響。オレのこと蔑む目……たまんない」
「ドMだな」
響が言い返すと、その頬にキスをして、かもね、と琉成が笑う。それからふらりと窓辺を離れ、きれいなままの自分のベッドへと転がった。きっとこのまま寝るのだろう。響は小さくため息をついてから、シーツが乱れたままのベッドに座り込んだ。すると琉成が、こっち、と小さく呼ぶ。
「そっちじゃ寝れないだろ、こっち来いよ」
「うん。ありがと、琉成」
琉成の言葉が嬉しくて響は急いで向かいのベッドへと移る。潜り込むと、すぐに琉成の腕が廻り、あっという間に抱きしめられてしまう。
「響は今晩、オレの抱き枕だから」
そんなことを言って、響が遠慮して自分のベッドに帰らないようにしているのだろう。琉成のそんなところが可愛いと思う。
やっぱり好きだと、日々確信していく。それでも、琉成にそんなことは言えない。彼は夜遊びができないフラストレーションを自分にぶつけているだけだ。
この気持ちをぶつけてしまったら――この生活はその時点できっと終わってしまうのだ。
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