三分の一の誘惑

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ギャンブラーの言葉に心を侵食されていく心愛。 「奴の言う事にいちいち惑わされるな! 最後に決めるのは自分自身だろ! 」 ソープの怒鳴りで自分の意思を取り戻す。 「最後に一つだけ聞かせて。 私達の前にも対戦はしたんでしょ? 」 強い目で尋ねる。 「ん? あぁ、男九人のむさ苦しい相手だったがな」 笑いながら答えるギャンブラー。 「何故その人達を仲間にしなかったの? 」 ふざけずに答えて、と強い目を崩さない。 その意思を感じ、口角を下げて笑いを止め、 「簡単なことさ。 俺の引き分け提案を受け入れてもらえなかった、それだけさ」 悲しみともとれる溜息を小さく漏らした。 「……男九人相手にあなた一人で勝って、今この場所にいるってこと? 」 電気椅子や電動ノコギリ、ロリコンの悲惨な姿を思い出し、目の前に無傷でいる男を見て恐怖を感じる。 ギャンブラーはニコリと微笑みだけで答え、 「もう残り一分を切った。 俺はパーを選択する」 携帯画面を人差し指でタッチする。 当然、心愛達からは何を選択したかは見えない。 「さぁ、あとはお前が選ぶだけだ。 グー、チョキ、パー、三択からお前達の俺に対する意思を見せてもらおう」
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