不安の始まり

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【今現在、同じ部屋に居る人でチームとなります。 基本、チーム対戦で選択及びゲームを行なっていただき、勝者にはポイント、敗者には死への誘いとさせていただきます】 「な、なにこれ……」 心愛は生唾を呑み込みながら画面の文字を何度も読み返し、美流玖は画面と心愛を何度も見返しておろおろしている。 「ふざけんな! 私達女だけだぞ、男チームに当たって力勝負なんかになったら敗者決定じゃねぇか!」 ソープは何もない床を蹴って怒りを露わにする。 「それはあなたの選択が悪いんじゃない」 ロリコンは笑顔で呟く。 「何で私の選択が悪いんだよ!」 ソープはまたロリコンへと突っかかる。 「だってここ……」 全員が周りを見渡し、 「女子トイレ」 ソープ以外の三人が声を揃えた。 「くっ……」 何も言えなくなったソープに、 「こんな場所に入ってくる男なんて、ババァやガキの女より信用出来ないでしょ」 ロリコンは高らかに笑った。 携帯音が鳴り、画面は概要説明からチーム表示に変わった。 【ソープ 250000ポイント ロリコン 320000ポイント ココア  180000ポイント ミルク  180000ポイント 博士   210000ポイント】 全員の時間が一瞬止まる。 「博士……」 「私達四人……」 「他に誰か……」 「どこかにいる!」 狭い空間、隠れられる場所は限られている。 「どこだ、どこにいる!」 先頭を切って、ソープが五つある個室扉を順番に開けていく。 一つ目、二つ目…… 廃病院に相応しい薄汚れた便器が現れるだけ。 五つ目の扉を開けて便器だけしかない事を確認した時、 コトッ…… その横にある、細長い用具入れの扉の中から小さな音。 「ここか……」 全員が固唾を飲む中、 「開けるぞ!」 自分にも残りの三人にも、中にいるであろう人物にも言い聞かせるよう叫び、ソープは錆びた取手を思い切り引いた。
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