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「相手がパー出してんならチョキを出せ!
こっちは引き分けじゃなくて良いだ、勝て! 」
ソープが心愛へと進言する。
「前回の対戦も引き分けを持ち掛けたなんて言ってるが本当かどうか怪しいよ。
勝つ為にわざとそうした可能性もあるし 」
そう単純じゃないと博士は言う。
「じゃあ、こっちがチョキを出すのを見越して相手はグーを出すってこと? 」
美流玖は右手と左手で色々な組合せをして考え込んでいる。
「さらにそれを見越してチョキを選んでるかもしれない」
ソープも考え込んだ。
「結局三択の中から選ばなきゃいけないってことか」
美流玖が深い溜息を吐くと、
「確定しないパー宣言のプレッシャーは、それ以上の難しさを生んでるかも」
博士は表情を覗き込むように心愛を見た。
「大丈夫だよ」
予想外に、心愛の表情は良い意味で引き締まって見える。
「私が出すのは…… 」
目尻に少しだけ皺のあるギャンブラーの微笑む目だけを見つめ、
「これよ! 」
力を込めて携帯画面をタップした。
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