見誤ることなく

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「見誤ってはいけない二つのことって? 」 心愛は先を聞きたくて促した。 チーム全員がギャンブラーの言葉の先に期待を抱いている。 「俺達の相手はあいつらじゃない」 打つ手を止めず、顎で金髪五人を指す。 「何言って…… 」 首を小さく振ってソープの言いたいことを止める。 「あいつらの邪魔でもするか? そうじゃねぇだろ、どの機種が勝負に勝てるのか見切ってそれをきっちりこなす。 通常であれば相手は胴元、今回で言えば運営が俺達の相手だってことだ」 目線は回転しているリールを見続けている。 「相手を見誤るなってことだね」 コインを入れる手捌きも様になってきた博士の回転数も百を超えた。 「あと一つの見誤ってはいけないことってのは? 」 美流玖の手も再び動き出す。 「途中経過で勝ってたって負けてたって関係ない。 ゲーム終了後…… 最後の最後に勝ってた奴が勝者だってことだ」 ギャンブラーの自信に、心愛の打つ手も少し速くなる。 「それだけの確信がこの台にあるっていうのか」 ソープも燻んだ色の古臭い台に座り直す。 「あぁ、この台は爆発台を大量に出した四号機の中の名器。 とにかく天井目掛けて打ち続けろ、俺達が勝つならこの台しかない」 「あんたの言う、知識、経験、勘を信用していいんだな? 」 ソープはゆっくりとコインを三枚入れ、 「あぁ、俺はギャンブルでは負けたことないって言っただろ」 ギャンブラーの自信に、 「寂しい寂しい独り者の時は、ってのが抜けてるよ」 突っ込みを入れてからレバーを激しく叩いた。
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