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タロット
待ちに待った金曜日がやってきた。
『三月兎研究会』が発足して始めての金曜日である。
綾那は、ついこの間の週末に買った真新しいタロットカードを持って、調理室へとやって来た。
なんだか無性にドキドキしている。
何かが始まる!
そんな予感がしていた。
調理準備室の扉に手をかけて、開けた。
「臣人先生」
「おー、来たか。本条院の姿が見えんな。どうした?」
割烹着姿の臣人がテーブルのそばのイスに座って、綾那の方を見ていた。
「係の仕事が残っていて、それを済ませてから来るそうです」
綾那はすうっと息を吸い込んだ。
準備室のテーブルには、いつものポットとカップがおいてあった。
「いい香りですね」
「そろそろ来よると思うて、ダージリンを準備して待っとったんや」
「さすがは我が研究会顧問!!そうだろうと思って、私もクッキーを焼いてきました。形は不細工ですけど、」
綾那は少し照れくさそうにピンクの紙袋の中からペーパーナプキンとリボンでラッピングされたものを取り出した。
広げるとマーブル模様の丸いクッキーが15~16枚入っていた。
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