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三月兎
『万物のまえに 混沌と闇と夜の国の門あり』
イスラエル・リガルディ
梅雨も開け、陽射しも夏めいて連日30℃は越えようかという日々が続いていた。
それと交互するように、私立聖メサヴェルデ学院高校では恐怖の夏休み前の定期考査が終焉を迎えた。
3日間にわたって行われるテスト。
生徒たちは、毎日コツコツ頑張るもの、一夜漬けのものなどなど思い思いの勉強法でそれに臨んだ。
その地獄の日々も今日で終わりを告げる。最終日の金曜日。
3校時終了のチャイムが鳴った。
「はあ〜終わった。これで眠れるわ」
列の一番後ろの生徒が解答用紙を集めに来る。
それを見送ってから、劔地綾那はイスに座ったまま両手を上に高々と上げ、伸びる。
さらに大きなあくびも出てしまった。目からは大粒の涙が。
「女の子がはしたないですわよ。それにまだ3校時終了のあいさつをしていませんので、終わっていませんわよ」
綾那の背後にいつの間にか、音もなく本条院美咲が立っていた。
「きゃあ!ちょっとお、どうしてこんなとこにいるのよ!! みっさ、あんた1組でしょう?何で3組なんかに!?」
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