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「じゃあ、サインでいいです。お・ね・が・い、臣人先生!」
綾那はバチッとウィンクをした。今度は色仕掛けである。
「まぁ、ええわ。かわいい劔地のためならな。どれ、どこや」
「ここです。ここ。」と、綾那は指さした。
「わいを奴隷にしますとか借金の肩代わりとかいう誓約書じゃあらへんやろな?」
「そんなんじゃありませんから安心してください。生徒を信用できないんですか!?」
美咲がペンを臣人に渡した。
臣人はさらさらと自分の名前を書いた。「葛巻臣人」と。
「こんなんでええか?」
「ありがとうございます!臣人先生!!」
飛び上がらんばかりに喜んだ。
まじまじと名前が書かれた書類を綾那と美咲は見直した。
そしてお互いの顔を見ると、にっ…と笑った。
「ちょっと失礼します。あとでまた説明に来ます。じゃあ、失礼しました♪」
そう言い残すと二人は、バタバタと調理室を出ていった。
その後ろ姿を見送りながら、カップを手にしたバーンが臣人の背後から近づいてきた。
「はめられたんじゃないか……?」
「ま、だとしてもかわいいもんやないか。あのレベルならな」
「…………」
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