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ハワイと仙人さん
みなさま、耳寄りな情報を共有させていただきます。お断りしておきますが、これは「都市伝説」の拡散ではありませんし、エステサロンの営業妨害でもありません。強いて言えば、幸せのお裾分けでしょうか。
まずは、あなたの首筋をご覧ください。ひょろりと1本、長い無駄毛が生えていませんか?いま、首筋を確認したそこのあなた!慌てて抜いてはいけませんよ。それは、とても、とても貴重なものですからね。抜いてしまったら、次はいつ生えてくるかわかりません。断じて無駄な毛ではないのです。
無駄毛と言っておいて、無駄じゃないとは何事かと眉をひそめているそこのあなた!同感です。「無駄毛」とネーミングしたセンスのない先人に私も憤りを覚えているのです。「神毛」とでも名付けるべきでした。その理由を今からご説明しますので、どうかお付き合いください。
その貴重な毛は、実は、ある方を召喚するための道具なのです。ある方とは誰か。それは仙人です。いま、ページをスクロールしようとしたそこのあなた!目の前の幸せをみすみす逃すのですか?仙人さんが運んでくれる幸せについて知りたくないのですか?
少々、興奮してしましました。すみません。いま目の前にいる仙人さんに優しくたしなめられてしまいました。
あっ、私は仙人のことを「仙人さん」と呼んでいます。最近は、愛情を込めてもっぱら「仙ちゃん」ですかね。私の癒やしです。実は、仙人は、召還した人の望む姿で現れるのです。私は、東方神起の大ファンですので、仙ちゃんはユノそっくりなのです。くーっ、たまらん!
仙ちゃんを見せびらかすために2人で散歩に出かけることもありますし、部屋に引きこもって仙ちゃんの美しい顔を一日中眺めていることもあります。仙ちゃんのおかげで、荒野だった私の人生はお花畑のように鮮やかになりました。
さて、鋭い読者はそろそろ疑問で頭がいっぱいですよね。なぜ、幸せをわざわざ他人に教えるのか、仙人はひょっとして何人もいるのか、などなど。理由は簡単です。仙ちゃんは間もなく私の元を去るのです。私がすっかり元気になったので、ふるさとの「桃花源」に戻って鋭気を養い、次の召喚に備えるのだそうです。とても残念ですが、それが定めだそうです。
桃花源とは「桃源郷」のことです。村の入り口に桃の花がたくさん咲いていて、たいそう美しいそうです。村の様子は詳しく聞いていませんが、仙ちゃんは1人で暮らしていると話していました…
「これが原因だったのか」
御手洗清は妻のノートパソコンをぱたんと閉じた。投稿にはまだ続きがあったが読む気になれなかった。デスクトップに星印をつけて保存してあったところをみると、何度も読み返したのだろう。
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