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その日はお母さんがリビングで外を眺めていました 今にも降りだしそうな空
キッチンでコーヒーを飲みながらお母さんを見ていると
『ねぇ 誰かいるの?いるんでしょ?』突然お母さんが話し始めました これって私?お母さんは構わず話します
『私さ あの人と結婚しようと思うんだけど 大丈夫かなぁ?』もしかして まだ結婚前?
『もう同棲も長いし プロポーズ受けようかなぁ』そう言うことか
『大丈夫かな?いいよね』はい大丈夫ですよ
『私何してんのかな?まぁ独り言ってことで 誰かさんもさ お互い幸せになろうね』なーんてねとお帰りは笑いました
その日から何日か “恋人”である2人がのんびりと過ごしていました 幸せそう と文句無しに言える2人にとても癒されました
思えば この家族のおかげで初めての1人暮らしは初めから寂しくなく 仕事にも肩の力を入れすぎず馴染んで行くことができました 気付けば生活にも仕事にも余裕ができています
そして それは唐突に 2人の“恋人”も部屋からいなくなりました
『幸せになろうね』お母さんの言葉が耳によみがえります
「バイバイ ありがとう」誰もいないキッチンに私はそっと呟きました
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