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「あの この部屋 二重契約とかなってないですよね?」やっと絞り出したベストな質問
『はい? ともうしますと?』
やっぱりなんかいぶかしがられました
「いや なんか知らない人がきたっていうか…」なんとなく声が尻窄みになってしまいます そう言えば 周りが静かだと気づきます あの家族の声がしない 振り返ると確かにいます でもミュートみたいに音だけがなくなっているんです
ちょっとパニクってしまいます
『もしもしもしもし どうかなさいましたか?』不動産屋さんの声に我にかえりました
「あ あの 勘違いみたいです ご ごめんなさい」といっていったん電話を切りました
と そのとたん あの家族の会話が耳に入ってきます
!!
なにこれ?あっ!心霊的な?えっやだ!
と更にパニックです
「あのぉ」もう一度声をかけてみますが
無反応です ん?これって逆に私が存在してない感じ?とか妙な考えにも至ったりします
どうしていいかわからないまま おろおろしていると 家族の食事は終わり 各々行動を起こします
「ごちそうさま 私先にお風呂入るね」
と女の子がクローゼットの方に歩きます
クローゼットに手をかけた瞬間
女の子の姿が消えました
!
驚いていると
「オレも宿題してくるわ」と壁に向かいます
壁に手を着けたら
!
やっぱり消えてしまいました 私は慌ててクローゼットを開けましたが そこには私の服があるだけで 女の子ももちろんお風呂もありません キッチンでは お父さんが食器棚の方を見てなにやら笑っています
「あなたこの番組すきよねぇ」とお母さんが話しかけています 覗き込みますが もちろんそこにはテレビなんかありません
ぐぅ~
お腹がなりました そう言えば 私はまだ夕飯は食べていませんでした こんな時でもお腹は減るんだとか 思いましたが 自然の摂理に抗えず 恐る恐るキッチンに行き冷蔵庫を開けます お父さんもお母さんも私が通っても何も言わないし 何もかわりません 2人で食器棚を見つめて お茶とお酒を飲んで笑っています 私は冷蔵庫から昼に買っておいた コンビニの引っ越しそばを出して ダイニングでは居心地がわるいので リビングの小さな机において食べることにしました
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