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そして、なんと言っても特筆すべきなのはボタンだ。シャツの中央で整然と並んでいる様子は僕をなんとも言えない多幸感に導いてくれる。
ボタンの色はシャツと同様の白である。糸も白色以外は有り得ない。ボタンはあくまでひっそりと、存在を主張せずに己の役目を全うしている姿が貴いのだ。
想像してみて欲しい。ボタンや糸に色が付いていたら、そこにばかり目が行ってしまうだろう? まるで観客の関心を集めるソリストだ。それではいけない。ボタンは完璧に周囲に溶け込んでいるのが望ましい。そう、コーラスを奏でるかのごとく、調和を体現してこそ、ワイシャツの総合的な美が胸に迫ってくるのだ。
ところで、ワイシャツの第一ボタンのホールが横向きになっている理由をご存知だろうか?
他のボタンホールが全て縦型に揃えられているのに、なぜ第一ボタンだけがこの形を?
それは第一ボタンが首を包む襟を留める役割を果たしているからである。
ボタンホールが横型ならば、わずかではあるが左右に遊びができる。首が少しでも苦しくならないようにとの工夫、繊細な配慮なのだ。心遣いというものは、このようにささやかに行われるからこそ美しいと言えよう。
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