ポッキーゲーム

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ポッキーゲーム

「じゃん!」  私は満面の笑みで野村さんに少し大きめのポッキーを差し出した。 「地域限定のポッキーをいただいたのですっ!」 「へぇ」 「箱でもらったのですが、合コンに持って行くといって言う後輩に取られたので、3本しかありませんが一緒に食べましょ」 「もしかして、ポッキーゲームしたいんか?」  さすが野村さん、即座に私の意を酌んでくれました。  大きくうなずくと野村さんがソファに手招きします。 「じゃあ、ここに座りぃ」  野村さんの腿に跨るように対面で座ると、個装のポッキーを一本開け野村さんにプレッツェルの部分を咥えさせてあげました。これで私のほうが多くチョコを食べれます。ふっふっふっ。 「じゃあ、行きますよ。よーいドン」  私は勢いよく、大きく口を開けてポッキーにかじりつきました。  一口で約三分の二を口に入れて、がじっと噛んで折ると上あごにプレッツェルがヒットする。 「ん。うぐっ痛い」 「なんしょーるん」 「でも、私の勝ちです。いっぱい陣地取りました」 「ん?ワシの知ってるゲームとルールが違う気がする」 「一口でどっちが多くかじりとれるかを競うんですよね」 「ちげかろぅ(違うでしょ)」  野村さんがもう一本個装を開けて、チョコ側を私に差し出します。 「ちょっと咥えて、ワシの唇見て」  プレッツェル側を少し咥えるようにしながら、説明をしてくれるんだけど、改めて野村さんの唇を注視するという行為がなんていうか、なんていうか、ドキドキします。 「これがちょっとづつ、だんだん()こうなって」  ちょっとずつ進んでくる唇にチョコレートが吸い込まれていく。ちょっとだけ見える舌と唇が触れそうな距離にドキドキが大きくなる。 「キスすんじゃろ」  ちゅ 「なんか、すごいドキドキしたんですけど、こんなエッチなゲームだったんだ」 「したことなかったんか」 「無いですね。野村さんは……」 「ポッキーは無い」 「ポッキー以外ではある。と」 「そぎゃな(そんな)こと、どうでもえかろう」  野村さんは抱き合うように腰に回していた手でお尻をまさぐり始めた。 「ちょっと、まだ、夕飯とかっ、食べてっ、ないっしっ……んっ」 「そう言いよぅるけど、もう準備万端っぽいで」  フレアスカートのすそをまくり上げるとクロッチをよけて指が入り込んでくる。 「だめ、だめっ、……はぁん、あとで。あとでにして、お腹すいてるし……んっ」 「もう一本あるけ、これ咥えとき」  そういって、ポッキーの残り1本を差し出してきた。 「口開けて、噛まずにチョコだけ舐めてみぃ」 「んんっ……」  ポッキーを口をすぼめて咥えると野村さんが端を持ったまま、前後に揺らした。  ちゅっちゅっと私の唾液で音がする。 「やぁらしぃ顔。安部さんはこういうのしたかったんじゃねぇ」  違う断じて違う。もっとこう健全で楽しいゲームをしようとしていただけなのだ。 「じゃあ、次はここに、ポッキー入れるんとワシのん入れるんどっちがえぇ?」  と言いながら、私のナカにいれた指を軽く揺らす。 「ポッキーは絶対やだ。食べ物を、……んっ、そういう風に扱うの、反対ぃ……」  野村さんは、私の唾液まみれのもうすでにプレッツェルだけになってしまったポッキーを自身の口に入れると、 「そしたら、もうワシの入れるしかないわなぁ」  と微笑んだ。
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