1人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
私の唯一の楽しみは、風呂に入ること。
私の持っているシャワーは、チイハ電気のもので、水を出すとほんのりバラの香りがして、1日の疲れが吹っ飛ぶ。
このシャワーの香りを楽しむため、私はいつも長風呂してしまう。もしかしたら長風呂のせいで妻に怒られるかもしれないので、結婚もしてない。友達もいない。シャワーを独り占めしたいからである。
ん?狂ってる?それで良いのだ。このシャワーの香りを楽しむためなら全く辛くない。
まあ、シャワーは機械だから、ちょっとしたゴタゴタは起きてしまう。
例えば、ある日水が止まった時があった。そして私はパニックになり、その日は風呂に入らなかった。
銭湯になんか誰が行くか!
私がいつものようにシャワーを浴びていると、シャワーから出た水がプツンと止まったのだ。
「また水が止まったのか!?」
大急ぎで問い合わせの電話をかけるため、風呂場から走り出した!
「いてっ!」
急いでいたせいで、肘が洗面台の水道のハンドルに当たったのだ。
「ん???」
その水道を見ると、ちゃんと水は流れていた。
「???」
(なぜだ!???)
他の水道も試してみたところ、全部水は流れていた。
「は!?私はちゃんと大切にこのシャワーを使ってきた!なのになんで!?」
私はチイハ電気に電話をかけた。
『はいもしもし。』
「あんた、ローズシャワーの担当か?」
『はい。』
「おい!あんたんとこのローズシャワーから水が出なくなったんだよ!こっちはあのシャワーがなきゃ生きていけないんだよ!原因はなんだ!?」
『あ、はい。それはそのシャワーがくたびれたんでしょうね。』
「は!?」
『はい。このシャワーには、「疲れ」という機能がついているのです。』
「は!?なんで!?」
『それはですね、発売した後そのシャワーには、中毒性があることがわかったのです。そうすると、そのシャワーのせいで体温が上がりすぎてしまうので、そんなことにならないように、全てのシャワーを集め、「疲れ」という機能を取り付けたのです。そんなことより、私たちの会社のシャワーを大切にご使用いただき、ありがとうございます。では』
ツーッツーッツーッツーッ………
最初のコメントを投稿しよう!