第1話

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第1話

 「あんた、(あきら)みたいにしっかりしなさい。お姉ちゃんなんだから。」  毎日響く母親の声。偏差値69の高校に入学する15歳の妹はいつもいつも褒められてばかり。それに比べて偏差値40の高校を卒業する私は、いつも劣等感を感じていた。  どうせ、妹は優秀ですよ。妹みたいに勉強ができるなら人生うまくいくんでしょ。  そんなことしか思わない。それに調子乗って「お姉ちゃんも勉強したらいいのに。」とかいうませてる妹が嫌い。なんか上から目線だし。  私は 小説と推しと友達とゲームがあれば大満足だからそんなことを言われても別にいいけどさ。  「お姉ちゃん、また 本買ったの?」 また なんか言われた。別にいいじゃん。推しのアイドルの雑誌くらい。海里様は最強なんだから! 「だって、海里様が載ってるんだよ。」 「まあ、どうでもいいけど、私の勉強の邪魔しないでよね。」 「もちろん、しないよ!」 「お姉ちゃんはずっとスマホとにらめっこだもんね。勉強すればいいのに。筋トレとスマホと小説バカ。」 「パソコンもやってるけど?」 「へー、別に どうでもいいもん。お姉ちゃんと話してると時間狂う。走ってくる。」 「行ってらー!」 まあ、だいたいこんな流れである。もともとインドアな私とアウトドアな妹を一緒の部屋にしようとするのが間違いなんだ。
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