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冷たい男
勇二はピクリとも動かない。
「そういえば勇二って、気配りが過ぎて修羅場になるといつも、音もなく去っていくんだよな」
健人が思い出したように呟く。
今回も勇二は逃げるように成仏したようだ。
「何で? 何で止めてくれないのよ……そんなに冷たい人だったなんて、見損なったわ!!」
真紀子は泣き叫びナイフを取り落とした。
「まぁ、本来死体ですからなぁ」
警部は勇二の体が冷たくなっていることを確認すると、さも当然と言わんばかりにうなずいた。
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