56人が本棚に入れています
本棚に追加
殺人事件
「今井勇二さんが殺されました」
警察から電話をもらった要一は、健人と連れだって犯行現場とされる公園に急いだ。
黄色と黒のテープの張られた殺人現場に通されて、いやがおうにも緊張が高まる。
「細井要一さんと、高峯健人さんですね?」
恰幅の良い刑事に話しかけられた二人は無言で頷く。
「被害者の今井勇二さんはご存知で?」
「はい、高校時代からの友人です。昨日も一緒に飲んでました」
刑事は手招きをした。
「ご遺体は今井勇二さんに間違いありませんか?」
警官がブルーシートをめくる。
覗き込むと、そこには確かに勇二が横たわっていた。
「何でこんなことに……勇二は本当に気配り上手な、良いやつだったんです……」
説明しながら血の臭いにあてられて健人の顔色が青白くなっていく。
それを察した勇二は、胸に突き刺さったナイフを隠すように自らブルーシートを頭の上まで引き上げた。
最初のコメントを投稿しよう!