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犯人は?
要一が鼻をかむのを横目にとらえながら警部は半ば諦めたような口調でブルーシートに向かって話しかけた。
「あー、話が聞こえてるなら犯人が誰か答えてはもらえんかね?」
「そうじゃん、誰に刺されたんだよ勇二!」
健人に尋ねられ、勇二の腕がプルプルと震えだした。
「名前でも何でも良いから書いてくれよ」
健人は勇二にペンを握らせ、手帳を広げてやった。
「真紀子」
震える字で書かれた文字を見て要一が声をあげる。
「はぁ? 真紀子? 何で真紀子がお前を刺すわけ!?」
勇二は困ったように指を組み、傷口を隠したブルーシートの上で親指をくるくると回している。
警察は任意で真紀子を呼び出した。
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