56人が本棚に入れています
本棚に追加
どっちが大事?
「ええそうよ。私が刺したの。」
真紀子は意外にもあっさりと罪を認めた。
「勇二は私の気持ちを知ってたくせに、要一とよりを戻せなんて言うから、ついカーッとなって……」
「は?お前の二股の相手って……」
「そうよ、勇二よ!」
「まてよ、初耳だぞ?」
放心する要一にブルーシートの中から勇二がそっとハンカチを差し出した。
「喧嘩売ってんのかよ!!」
要一は勇二の腕からハンカチを叩き落とした。
「そういうところが嫌なのよ! いつだって俺様で自分が一番なんだから! 勇二はいつだって私を優先してくれたわ」
「勘違いすんなよ! 勇二はお前を優先してたんじゃない! こいつは自分以外のやつなら誰にでも気を使うんだ。そういうやつなんだ!」
「だったら勝負よ。勇二が私とあんたのどちらを優先するのか!」
真紀子はブルーシートの勇二に飛び付き、胸のナイフを抜き取ると、それを自分の喉元に押しあてながら、ポケットから取り出した小型ナイフを要一に突きつけた。
「こ、こら、馬鹿なことはやめなさい」
「部外者は黙ってて!」
真紀子の剣幕に警部は後ずさる。
「ほら、止められるのは一本だけ。どっちを選ぶのよ? 勇二、はっきりして!」
最初のコメントを投稿しよう!