もう1人の私

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彼の優しさに背中を押され、私は質問を口にした。 「訊きたい事というのはね、 貴方が私を好きだという気持ちを自覚するきっかけが 何だったかを教えて欲しいの。」 その質問を聞いた彼は、少し意外そうにした。 しかし、それも当然だろう。 本来であれば、それはプロポーズの返事を差し置いてまでしなければならない質問ではないはずだ。 彼は私の質問の意図を図りかねる様子だったが、真剣に答えてくれた。 彼の答えを聞いた私は、「わかったわ。ありがとう。」とだけ告げた。 そして、一呼吸置いてから、プロポーズの返事を伝える。 「先日の返事だけど、待たせてしまってごめんなさい。 プロポーズ、喜んでお受けします。」
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