眠りの果てに見たものは

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 俺が次に目を覚ましたのは翌日のことで、丸一日眠り続けていたらしい。それも部屋を訪ねてきたサクラの説明だった。自分では時間を忘れるほど熟睡していたので実感がわかない。 「どうしてこの部屋には時計がないんだ?」  俺は素朴な疑問を片っ端からサクラに尋ねることにした。 「少しでも早く回復するためには時間を気にしてはだめなんですって。ドクターが言っていたわ」 「ドクター? 医者なんているのか?」  それらしい人間を見たことはない。俺が見たのは防護服の男たちとサクラだけだ。 「そのうち直接診察してくれるはずよ。今はワクチン接種が優先されているから」 「注射ならこないだ打たれたよ」 「もう何種類かあるの。全部接種しないと部屋から出してもらえないわ」  こともなげにサクラは答えて「また会いに来るわね」と請け負って部屋を去っていった。  サクラと入れ替わるように再び防護服の男たちが現れる。その手に握られたハンドガン型の注射器で相手の目的を悟った。サクラの言うとおりだ。 「今度は何の注射なんだ?」  やつらは相変わらずだんまりを決め込んだ。 抵抗しても多勢に無勢(ぶぜい)。俺は取り押さえられて注射を打たれた。 それは一度では済まず数回に及んだ。 「ワクチンって全部で何種類あるんだ?」
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