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坂口は海岸近くの駐車場に停めてあった三島の車を見て驚き、富山市郊外にある三島の家を見ても驚き、玄関で出迎えてくれた三島の妻を見ても驚いた。ピカピカの高級車に白亜の豪邸そしてナイスな超美人。だから三島の言ってたことは誇張ではなく全く本当だと思った。
オクシデンタル且つ和のテイストを反映させた和洋折衷のデザインマンションと言うべき所の洋の部分である、シャンデリアの照明が点いた豪華絢爛なダイニングキッチンでの素敵なテーブルクロスを纏ったダイニングテーブルを3人で囲んだ夕食も豪勢で食欲をそそるスパイシーで芳醇な香りに鼻を擽られながらナイフとフォークでシャトーブリアンのステーキを坂口は生まれて初めて味わうことが出来た。だから有卦に入って運が開けたと思う位、三島と出会って良かったと思ったし、青葉を恥ずかしくてちらちらとしか見れなかったが、謎の微笑とでも言うのか、青葉がとても魅惑的で蠱惑的な笑みを投げかけて来るので坂口は当惑気味に興奮を頗る覚えずにはいられなかった。
「ニュイもシャブリもドンペリもあるぜ」とワイングラスを持つ三島に言われた時、「僕、まだ未成年ですから」と坂口は断った。
すると、「歳はいくつなの?」と青葉が目を爛々と輝かせて訊いて来た。
「あ、あの、19です」と坂口がどぎまぎして答えると、「ふふ、そう。若いのね」と青葉は見るからに喜ばしそうに満足そうに言った。その気色は妖艶とも言えるもので身なりが部屋着と言っても値が張りそうな婀娜なワンピースで襟元や胸元にふんだんにフリルがあしらわれ、袖のレースやスカートのギャザーも凝った作りなのである。
まるで夜の営みに備えているような感じなので坂口はお邪魔しない内にお暇しなければと思った程だった。で、三島を一瞥すると、何やらにやにやしている。矢張り僕が帰った後・・・と思っていると、三島が坂口に向かってにやりとして言った。
「青葉に気に入られたようだな」三島は青葉の欲情だけは鋭く察することが出来るのである。で、「えっ!」と坂口は思わず声を上げた。
その後、坂口は日本語教師養成講座420時間以上受けた三島の手解きを受けた。約束通り教えてもらえたことで、これから三島と付き合いを続けて行けば、スカイプでつながることも出来るし、自分にも出来そうな気がした。それから約束通り車で寮に送ってもらった。
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