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死出の朝に…②
ノボルは迷った。
せっかく”実行”の決心が固まったところなのだ。
今さら、大事な用も何もないだろうと…。
だが、やはり心残りは否めないと思い、出る出ないはともかくとして、発信元は確認しておこうという結論に達した。
またまた深呼吸してから、スマホに目をやると…。
その目にした発信先表示…。
それは、まさしく目を疑うものだった‼️
なんと、その着信表示は”水原(旧姓)”だったのだ…。
***
無論、ノボルはすぐさま着信した。
「もしもし…」
「ああ、もしもし❗️中原君だよね⁉」
「うん…、あのう、水原か?」
「そうよ…。ふう~~、よかった…❗️間に合わないかと思ったけど…。今、そこで自殺しようとしてたんだよね、あなた…」
「まあ、その‥。そうだけど…」
とりあえず、歯切れ悪く、彼そう答えたが…。
だが、ノボルの頭の上にはハテナマークが浮かんでいた。
***
”どうなってるんだ…?これまた、さっぱりだって。間に合ったとかって‥。こいつ、今オレが首括ろうとしてるの、なんでわかってたんだよ‼️第一、彼女のケータイ番号、登録した覚えなんか…”
しかし、中原ノブオは、その疑問に対する回答のすべてを、中学時代の同級生で終生忘れがたかった才媛の女性、旧姓水原ユキノから耳にすることとなる…。
***
「…まず、しっかり返事をして‼️今、そこでは死なないと」
「わかった…。今、ここではってことなら」
これも、他ならぬ彼女とあれば、すんなり同意するほかなかった。
「そう…❕ありがとう。じゃあ、ひとつひとつね。まず、昨日の同窓会では、中原君と私、あのテーブルで10分くらい話して、ケータイの番号をやりとりしたの。たぶん、記憶ないと思うけど」
「…」
初っ端から、衝撃だった。
いくらかなりの酔いが回っていたとしても、スマホを操作するなら最低限の意識は持っていなければ不可能だ。
従って、”ウソだろ⁉️”がノボルの偽らざる思いだった。
さらに、彼女の口からは衝撃の言葉が飛び出す…。
***
「古澤さんと進藤さん、それに佐々木さんは昨日、同窓会には来ていなかったのよ。たぶん、あなたは3人と親しく会話して、エッチなことし合ってた記憶だろうけど、それはこっちの世界でいえば、”通常の現実”ではないの」
もう、ノボルは言い加減、頭がヘンになりそうだった。
もしかしたら、すでに自分はあの世に行っちゃてるんじゃないかとさえ、考えるに至っていた。
「信じられないでしょうけど、理由は後でまとめて言うから。それで、その後ラブホテル、行ったことになってるでしょ、中原君の記憶では?」
「ああ。妖しい神社を通って。S○ホテルだったが、それも幻、オレの妄想だってことだよな?」
「さっきの3人とのことと一緒だけど、中原君の妄想じゃないわ。ちゃんと説明はするから、最後まで確かめさせて。そのホテルでは、私がMだったって告白して、”その手”のプレイを一緒に…。それで、あなたはベッドで眠った。しかし朝、目が覚めると私はいなかった。しかも、ホテルの場所は、昨日の同窓会会場とは何十キロも離れた都心だった…」
「全部、お前が言った通りだよ!じゃあ、説明して欲しい。オレが、ここで首括るつもりだったってことをなぜ知ってたかを含め、すべて教えてくれ、水原‼️」
「うん。今話すわ」
ノブオはかた唾を呑んで、スマホからのユキノの声に神経を集中させた…。
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