44年ぶりの同窓会

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44年ぶりの同窓会

44年ぶりの同窓会① 今年58になる中原ノブオは、数年前にコンビニで立ち読みしてした4流週刊誌の某記事を思い出していた。 ”40代から60代の人間がこの世を去る瞬間最後の瞼に浮かぶ顔…、妻や子供や肉親と拮抗して、それは同級生だった異性である…” これ…、ある”自称”霊能力者が、あの世の面々とチャネリングしたアンケート結果とやらを解説した一節であった。 その時は、”ふーん…”と言った程度でさらっと読み流していたのだが、どこか頭の隅に残っていたのだろう。 で…、この度、中学時代の同窓会開催を知らせる案内状が届いていたことで、その参加を検討する段となり、例の記事をふと思い浮かべたのだった。 当該中学の同窓会は10年に一回以上のペースで開催されていたが、ノブオは卒業後、一度も参加したことがなかった。 そのノブオが卒業以来、44年目にしてその腰を上げる気になったのには、”ある理由”があった。 *** そう…、間もなく彼はこの世に別れを告げる決意を固めていたのだ。 ”なんかあの記事…、読んでる時は死んだ人間の意見を基になんて、アホくさって思ったが…。まあ、心情的にはそんなもんかも知れないなあ~~” 彼は事業に失敗し自己破産後、数年前に離婚、子供二人とも絶縁状態となっていた。 両親もすでに他界しており、いわば天涯孤独に近い境遇と言えた。 しかも…、彼の場合、個人を含め債務整理の延長で自己破産を済ませ、まずは法的にクリア、さあ、第二の人生を…、というオーソドックスな”再チャレンジ”が出来るレヘルではなかったのだ。 この男は、その物腰もあって万人に誠実で堅実そうに見えたことからか、数えきれないほどの友人・仕事関係の知人等から普通じゃ考えられないくらい、ポンポンと金を借りることができてしまった。 それも百万単位、借用書なしも珍しくなく、結局、膨大な借金で返済不能となった時点で、やっと気が付いた”殊勝な人たち”は、こぞって詐欺行為での告発や法的手段に動き始めていたところだったのだ。 ここに至り、ノボルの解決法はひとつだけ、オンリーワンとなる。 死んだ自分の保険金で借金返済という、悲痛極まりない選択肢…。 彼は迷い、苦しんだ結果、苦渋の決断に至る。 *** であれば、ちょうど中学の同窓会ってことなのだから、最後に懐かしい同級生の顔を拝んでからにするか…。 彼は必然的にそんなモードに入って、今度の日曜日、都内の会場に赴く予定になっていたのだ。 もっとも今のノブオにとっては、ヤローの顔などどうでもよかった。 当然ながら…。 要は、完全に”女子”目当てであったのだ💖 もっと言えば、具体的には4人…❢ 長い年月を経ても、脳裏の隅に訪れる彼女たちは、ノボルにとって極めて”特殊”なポジションを占有していたのだ。 このかたずっと、しっかと…。 ”全員は無理にしても、二人くらいは期待したいな。何しろ今生の別れになるんだ…。この同級生4人の女の子が参加してますように…❣❣”。 彼にとってこの祈願は、まさしくこの世での最後の願いになるのだろう…。 そして、当日前夜…、4人の中の一人とのエッチを妄想して、60を目前にした人生の敗北者は自慰行為による産物を添えた。
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