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「君はこの前の事故の時もいただろう。ショックな事故だったのでハッキリ覚えてるよ。ホラ、去年の冬だよ。あの時もマフラーの先が結ばれていた」
ニキビの男の子は沈黙する。
「あの時も女の子のマフラーが挟まれて電車に引きずられたじゃないか。覚えてるだろう」
警察官が訝しげな顔をする。
「君、そうなのか?」
「偶然ですよ」
マフラーが挟まるなんて事故に偶然2回も乗り合わせるだろうか。しかも、2回とも似たような事故だ。それに茶髪の男の子は引っ張ったの見たと言っている。
「まあ、いい。詳しい事情は警察署で訊くよ。運転手さんと助手の方も来て頂けますか?」
仕方ない。運転は代わりの人にして貰うしかないだろう。事件性が高すぎる。
それにしても女の子は不運だったな。通学の途中だったんだろう。若いのに死ぬなんて早すぎだ。これから明るい将来があったんだと思うのに。
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