帰郷

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帰郷

1日、2日、1週間、1ヶ月と手紙もメールも、着信履歴さえ残されない日々が続いた。 木下は始め、冗談だろうと疑い背筋にうすら寒いものが這い回る感覚をおぼえていた。やがて、時間が経つにつれ、徐々にその警戒心は解けていった。 ああ、自分にもやっと普通の人生がやって来たんだ! 木下は歓喜した。 木下は会社に笑顔で休日申請を提出した。同僚たちが彼に彼女ができたのではないか、プロポーズが成功したのではないか。そのようなことを噂するほど、木下は目に見えて浮かれていた。 週末の定休日と合わせて数日間の連休が木下を待っていた。 部屋には大きめのトランクケースに荷物が詰め込まれ始め、それと一緒にたくさんの土産やプレゼントも丁寧に入れられた。 家から離れた間の時間に、彼が大切な人たちに贈りたかった、しかし沙流という存在が送ることを躊躇させた品々であった。 木下は、この連休、初めて実家へと帰宅したのである。
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