拓磨の章-4

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拓磨の章-4

カメラマンの松本留理の長崎での撮影に 同行することになった俺は 羽田空港のチェックインカウンターで 待ち合わせることになった。 初対面だし、顔もわからないから 留理のLINEを教えてもらい、当日の服装と 目印を教えてもらった。 「えっと…ストレートロングの髪型で、ライダース ジャケットにスキニーの黒づくめの女子…と」 俺は難なく留理を見つけることができた。 大きなカメラバッグも目立っていたが、何より 目をひいたのは留理の背の高さだった。 「おはようございます、新栄社の坂本です」 「おはようございます、松本です」 「今日はよろしくお願いします」 「こちらこそ…」 踵の低いショートブーツだから、 ほぼリアル身長だろう。170センチはあるかな…。 俺を見ていた留理はふっと微笑んだ。 「デッカい女だと思ってますよね?」 「あ…いえ…。スタイルいいな、と思って…」 「175センチのノッポ女なだけです」 俺と5センチしか変わらないのか…。 あらためて留理を見ると、クールな美人で あることがよくわかる。 漆黒のストレートロングは無造作にひとつに 束ねられていて、服装もメンズライクなテイスト でまとめられているが、 切長の目元にグリーンのシャドウが縁取られ、 鮮やかなボルドーレッドの口紅が妙に艶かしい。 純夏とは正反対のタイプだな…。 「搭乗まで時間ありますよね?お茶でも いかがですか?」 おっと、女性から誘われたよ…。 なんか新鮮だな(笑) 「はい、喜んで」 俺の返事に留理はふふっと小さく笑った。 カッコいい女性(ひと)だと、ふと思った…。
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