拓磨の章-9

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拓磨の章-9

翌朝、出社すると すでに留理からイスタンブール撮影の スケジュールのメールが届いていた。 仕事、早っ…。 思わず苦笑してしまう。 俺、完全に避けられてるな…。 あの時、何か留理に酷いことを してしまったんだろうか…? なんか、避けられているというより 嫌われてるレベルじゃないか?? 正直な話、今日は仕事が手につかなかった。 トイレに行くと席を立った俺は 廊下で留理にLINEを入れた。 『何か…失礼なことをしてしまいましたか?』 あ…純夏からLINEが入っている。 『拓磨、今日の夜、ご飯たべない?』 特に予定はなかったが、 純夏になぜか会いたくなかった。 『ごめん、仕事が立て込んでて無理』 『そっか…残念。またね』 ごめんな、純夏…。 その間も留理に送ったLINEは既読にならなかった。 たぶん未読スルーされてるな…。 思った以上にショックを受けている自分に 俺は少なからず驚いていた。 俺は…純夏より留理の方が好きなのか…? どうしたいんだよ、ったく…。 あ〜…なんかイライラする…! こんな気持ちで純夏に会わなくて良かった。 無意味に傷つけるところだったよ。 メールも電話もLINEも繋がらない。 もう留理に会うことは出来ないんだろうか…? …ひとつだけ、ある。 留理に会える方法が。 俺は自席に戻ると 有休申請の書類を作成した。 留理に会えるのは… 俺がイスタンブールに行くこと。 頭の中はそのことしか考えてはいなかった…。
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