純夏の章-2

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純夏の章-2

仕事を終えて純夏は家にいったん戻った。 「ただいま〜」 「おかえり〜」 「おかえり、純夏」 あれ…母以外にもう1人声がする…? 純夏は母の美里(みさと)と2人暮らしだ。 リビングに入ると 母とお茶を飲んでいたのは 親友の松本留理(まつもとるり)だった。 「留理ちゃんがロールケーキを持ってきて くれたのよ〜」 「ごめん、純夏。おばさんと先に食べちゃった」 「いつもありがとね、留理」 「ううん。純夏の分も切ろうか?」 「純夏、これから拓磨くんとデートでしょ?」 「うん。シャワー浴びて着替えるよ。 ごめん、留理。帰ったら食べるね」 「OK。気にしないで」 ひらひらと手を振る留理を横目に 純夏は風呂場へと急いだ。 …今日は…しない…よね? シャワーを浴びながら、そんなことを考える。 …私…ホントは期待してる…?? 体の中心がビクンと疼くような感覚を覚えた。 そして、風呂場の扉を開けると 当然のように留理がそこにいた…。 びっくりした純夏は思わず バスタオルで体を包んだ。 早鐘のように鳴り出す、心臓。 「今日は…ダメだよ、留理」 声を潜めて留理を制す。 リビングで母がテレビを見ながら笑う声がする…。 「大丈夫、時間かからないから」 ふふっと笑う留理。 「そういうことじゃな… あっ…」 あっという間に純夏の体は扉に押し付けられ バスタオルからむき出しになった右胸の突起は 瑠璃の唇で塞がれていた。 「声…出すとおばさんに気付かれちゃうよ…」 「やめ…て…る…あぁっ…」 抵抗しようと思うのに力が入らない…。 「留理ちゃん、晩御飯食べていくでしょ?」 リビングから母の声がのんびりと聞こえた。 「はーい、食べてきまーす」 舌の動きを止めることなく答える留理。 波のように押し寄せる感覚に耐えきれず、 純夏はバスタオルの端を思わず噛んで 声を押し殺した…。
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