留理の章-5

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留理の章-5

新栄社の仕事で長崎へ向かうことになった。 被写体の女優が撮影地に長崎を指定したのが 理由だったが、長崎は私も好きな街なので けっこう楽しみにしていた。 サトコには1本早い便で撮影クルーと共に 長崎に向かってもらうことにして、 私は新栄社の経理担当の坂本という男性と 向かうことになり、羽田空港で待ち合わせた。 初対面でお互いの顔を知らなかったから LINEのIDを教えて、私の服装等を教えた。 まあ、デカいオンナを探せばすぐわかると 思うけど(笑) 空港に現れた彼は 思ってたより若くて背の高い 爽やかなイケメンだった。 予想通り、私の背の高さに 目を丸くしていたけど(苦笑) 「デッカい女だと思ってますよね?」 「…あ、いえ…スタイルいいな、と思って…」 この答え方になぜか私は好感を持った。 正直だけど、人を傷つけないタイプだな…。 それに当たりの柔らかさも 話しやすい印象があった。 それは搭乗までの時間で お茶を飲んだ時点でよくわかった。 純夏も好きだろうな、こんな感じの人…。 そう思った段階で、私の予想は確信に変わった。 移動車の中で、 「坂本さんて、下のお名前は何ですか?」 「え…あ、拓磨です」 やっぱり…。純夏の彼だったか。 純夏の彼だとわかって 私はむしろ拓磨に興味が湧いた。 この腕に純夏は抱かれて、 その指で愛撫されているのか…。 それは私とどっちが気持ちいいんだろう? なんか…我ながらおもしろい発想で 私はこっそり笑った。 この仕事、楽しくなりそうだ…。 拓磨は撮影に関しては素人だったが、 経費やそれに付随したスケジュールの組み方 などの知識はとても豊富で、 私もサトコもいろいろと勉強になった。 撮影も順調に進み、 テンションを上げた女優が服を脱ぐハプニング? もあったが、写真はいいものが撮れた。 好きな土地でいい仕事ができて、 気分も良かった私は 軽い気持ちで拓磨を部屋に誘った。 単なるワンナイトラブの相手として…。
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