留理の章-9

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留理の章-9

純夏の家に泊まった日から 私はいろいろと忙しくなった。 花をテーマに旬の被写体で撮影した写真集 『フラワーシャワー』シリーズの売れ行きが 好調で、重版を繰り返しているのもあって、 仕事の依頼が一気に増えた。 今の体制では対応しきれなくなって、 思い切ってスタッフを2名ほど増員し 事務所ももう少し大きい所に引っ越すことになった。 それにイスタンブール行きの準備が重なって てんてこ舞いの忙しさだった。 拓磨からLINEやメールが何度か届いていたが 返事を返すことはなかった。 それどころか純夏にさえ会えなかった。 事務所に泊まり込みで仕事をすることもあったりで 疲れもストレスも溜まっていく日々…。 まあ、一晩限りの関係はちょくちょくあった。 この前の相手にセフレになってくれと 哀願されたのにはちょっと参ったな…。 (これはバラエティ番組で大人気の 女子タレントだったけど) セフレは純夏で十分。 …変な話だ(苦笑) ようやく仕事の方もひと段落して、 明日からイスタンブール。 トルコに行くのは初めてだが、 前から行ってみたい国のひとつだった。 被写体の女優とも打ち合わせを重ね、 いい写真が撮れそうだ…。 本当なら純夏に会っていきたいところだったが 会うと違う体力を使いそうだし(笑) ここは我慢…と。 イスタンブール行きの飛行機は 夜に出発なので、明日は軽く仕事をしてから 成田に向かう予定だ。 いい仕事をしよう。 そう思う。私はやっぱりこの仕事が好きだから。
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