純夏の章-3

1/1
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/42ページ

純夏の章-3

半裸のまま、純夏は崩れるように 床に座り込んだ。 体の中心部はジンジンと痺れるような そんな感覚を含んだままだった。 「デート、楽しんでね」 留理は放心状態の純夏の唇に軽くキスを落とすと、 「おばさん、お買い物行きますかあ〜」と 何事もなかったようにリビングに戻った。 ほんの数分の間に 純夏の体を蹂躙していく留理…。 これは今に始まったことでは、ない。 純夏と留理は高校からの同級生で すぐに仲良くなって 純夏の初体験は、実は留理だ。 あの頃から留理はテクニシャンで 純夏の体のあちこちを知り尽くしていて 簡単に絶頂という感覚を純夏にもたらす。 もう…この体は純夏の舌や愛撫なしでは いられない。快感という名の快楽を 知ってしまった…そんないらやしい体なのだ。 自分は同性愛者ではない。 なのに、いくつか恋をしても 留理の存在は切り捨てられなかった。 いや…切り捨てたくはなかったのだと思う。 では留理はどうなのか…? 正直な話、純夏にはよくわからなかった。 親友なのに、留理が同性愛者なのか バイセクシャルなのかも、 他に付き合っている人がいるかどうかも、 その人が男か女かもわからなかった。 「…支度、しなくちゃ」 ぼんやりとした頭と体を抱えるようにして 純夏は立ち上がった。 洗面台の鏡に快感を味わった後の自分の顔が 写し出されていた。 皮肉にも肌は薔薇色に染められて 艶を放っている。 キレイ…な肌だ、と我ながら思う。 これから会う拓磨には… この事は話さない。 話せるわけがない。 たとえ留理の話をしたとしても 仲の良い親友だと紹介するしか、ない。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!