3人の章-3

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3人の章-3

驚いたような、それでいてどこか わかってたような顔…でも一瞬のことだった。 留理はいつもの顔に戻り、こう言った。 「純夏が聞きたいこと、きっとすぐ わかると思うけど?」 「え?それって、どういう…」 突然部屋のドアが空いて拓磨が飛び込んできた。 「純夏!大丈夫…えっ…」 そのまま固まったように動かなくなった拓磨。 目は大きく見開いたまま、見つめていたのは… 純夏ではなく、留理の方だった。 やっぱり2人は知り合っていたんだ…。 そして…ただ知り合ったわけじゃ、ない…。 純夏はそう確信した。 拓磨はわけがわからなくなっていた。 自分は何を見ているんだ…? ここは…純夏の部屋だよな? なのに、なんで留理が一緒にいるんだ…?? 留理は純夏の友達なのか? そんなことなんか言ってなかった。 そもそも、俺が純夏の恋人だって、留理は 知っていたのか…??? 「留理を知っているの?拓磨…」 口を開いたのは純夏だった。 「え…あ…」 「撮影に同行してくれたのよ」 留理が静かに言った。 拓磨は思わず留理の顔を見た。 そこで拓磨が見たのは… 怒りの色を滲ませた留理の表情だった。 純夏を…傷つけたら、あんたを許さない。 そんな風に今にも叫び出しそうな表情…。 こんな表情の留理を見るのは初めてだった。 君はいったい…純夏の何なんだ? 「ごめん、純夏。仕事だからそろそろ行くね」 そう言った留理の顔はいつもの表情に戻っていた。 「留理…」 行かないで、留理…。 今、拓磨と2人にしないで。 きっと私…一番聞きたくないことを これから聞かされるんだ…。 留理が部屋を出て行き、部屋のドアが閉まる。 純夏と拓磨は部屋に取り残された…。
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