3人の章-6

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3人の章-6

翌日… 3人はそれぞれの思いを抱えながらも 仕事に就いていた。 いざ仕事に入ってしまうと、それに没頭することで 却って気が楽になった。 純夏も留理も拓磨も カバンに携帯を仕舞い込んで終日見なかった。  仕事終わり、 最初に携帯を取り出したのは拓磨だった。 純夏と留理、どちらからも 連絡が入っていなかったのは、ホッとする反面 寂しい気持ちにもなった。 拓磨は留理にLINEを入れた。 『君に聞きたいことがあるんだ。』 そう…君は純夏の…何なんだ? ただの友達じゃ…ないんだよな?? 俺の頭じゃ、いくら考えても答えが出ないんだ。 教えてくれ、留理…。 次に携帯を見たのは留理だった。 …というより、仕事のスケジュールも入れてあるので 見ないわけにはいかなかったのだ。 ホーム画面に拓磨のLINEメッセージが出る。 『君に聞きたいことがあるんだ』 …やっぱり、来た。 私と純夏の関係を聞きたいのだ、拓磨は。 答えるのは簡単だけど、勝手にカミングアウトは フェアじゃない…か。 純夏に言っていいか、聞いておこう。 家に戻って純夏はようやく携帯を見た。 留理からLINEが入っていた。 『拓磨さんに、私たちのことを話していい?』 薄々こうなると思ってはいたが、 そのメッセージにビクッと心臓が鳴る。 やっぱり…拓磨に知られたくはない。 なんて…返事しよう?… 答えを出せないまま、純夏は留理のLINEに 返事を返せないでいた…。 そして留理は純夏の返信を待っていたのと 同時刻、拓磨は留理からの返信を待っていた。
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