それからの3人-最終話

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それからの3人-最終話

その提案から3ヶ月後、 純夏と拓磨は入籍した。 新居は留理の事務所と純夏の実家のちょうど間 あたりの場所にある3LDKのマンションに 3人で入居した。 純夏、拓磨、留理がそれぞれ部屋を持ち、 リビングを共有する様はシェアハウスのようでも あったが、違う点が2つあった。 1つ目は純夏と拓磨が新婚夫婦であること、 2つ目はそれぞれが留理の部屋に通う日が あることだった。 夫婦が営む時はどちらかの部屋へ行き、 拓磨が留理の部屋へ行く日と、 純夏が留理の部屋へ行く日が存在した。 唯一ないのは 3人が一緒にベッドに入ることだった。 誰もそれを望んではいなかったし、 その趣味も持ち合わせてはいなかった。 留理はアメリカの拠点を 引き払っているわけではないので 表向きは新婚夫婦の家に居候している、という 理由が使えたし、純夏の母も、拓磨の両親も 反対する者は誰もいなかった。 当分はアメリカと日本を行き来する予定もある。 純夏と拓磨の関係もすこぶる良好であった。 仕事が落ち着いたら、ハネムーンに行く計画も 立てている。 「留理も一緒に来る?」 純夏がおどけて留理に言った。 「まさか。そこまで変態じゃないわよ」 「そうなの?俺はいいけど?」 「なんかそれ、やらしくない??」 純夏と留理から同時に言われて 拓磨と3人で笑い合った。 ハネムーンに行ったら、純夏は妊娠するかも しれないな…。留理はふとそう思った。 そうなったらまたアメリカに戻ろうかしら。 「赤ちゃんが出来たら、更に広い家に引っ越す から大丈夫よ、留理」 あなたの居場所があってこその私たちなんだから。 「なんだか私の保護者みたいね、純夏たちは」 いつまでもここに居たくなっちゃうじゃない。 「留理が俺たちの保護者じゃないの?」 君がいてこそ、俺たちがいるんだ、留理。 3人でいることがいい。 それが私たちが出した答えだった。 それはまた将来変わる時が来るのかもしれない。 その時は、また 3人で話し合おう。 それぞれが幸せでいるために…。 …私たちには3人共通の秘密が、ある。 かつてはそれぞれに言えなかったこの秘密に 今は3人が守られていると感じる。 そしてこの秘密は3人以外、生涯誰にも 話すことは、ない…。
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