純夏の章-5

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純夏の章-5

翌朝… 拓磨のマンションで朝ご飯を食べてから 午後、純夏は家に戻った。 拓磨が挨拶に来たいと言ってたと母に告げると 「なんかドキドキするわね〜」と 母は嬉しそうだった。 「おかあさんが結婚するみたいじゃない」 「だって、ステキなことでしょ? ねぇ?お父さん」 そう言って仏壇の父の写真に話しかける母は 本当に喜んでいた。 「あ、留理ちゃんと昨日は晩御飯食べて 楽しかったわよ」 拓磨を母は気に入っているが 留理も母のお気に入りだ。 どうも私が好きになる相手は男も女も なぜか親受けするタイプのようだ。 「泊まっていったの?留理」 「ううん、今日は早朝から撮影だからって 帰ったよ」 留理はプロのカメラマンの仕事をしている。 最初は会社に所属していたが、腕の良さを 買われて独立し、今はフリーだ。 写真集撮影にカメラマンは留理、と 指名する芸能人も多い。 感性の豊かさは留理の武器、だ。 それは高校の頃から変わらない…。 部屋に戻り、くつろいでいると 携帯が鳴った。 LINE…?  留理からだ。 『撮影終わったとこ。これから純夏のとこに 行ってもいい?』 こんな時、断るのが普通なのかな…。 そんな思いが胸を貫く。 『いいよ』 拒否しきれない自分がいた…。
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