純夏の章-9

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純夏の章-9

ドライブデートが拓磨の仕事でキャンセルに なって以来、なんだか拓磨に会えなくなった。 純夏に変化があったわけでは、ない。 ただ、約束しようとすると、なかなか拓磨と 予定が合わない。LINEも未読のままだったりする。 よっぽど仕事が忙しいんだろうか…? 最初はそんな風に考えていた。 しかし、あまりに会えない日が続くようになって ふと気がついたことがあった。 そういえば、留理も来てないな…。 確かに留理は約束して現れるわけではなかった。 しかし、割と定期的に純夏の家に来たりしていた。 それが…拓磨と会えなくなったあたりから 留理も姿を見なくなっている。 まさか…撮影同行って、留理の撮影のことなの…? …考えてもわからない。 とりあえず留理に連絡を入れてみようかな。 LINEしてみよう。 『留理、仕事忙しいの?』 あ… 既読になった。 『まあまあかな』 まあまあ…か。忙しいのは確かかな。 『今夜、ハヤシライスをお母さんが作るんだけど 留理、来る?』 すんなり既読。 『うわ…行きたい〜ところなんだけどさ…』 ん?? 『今、イスタンブールなんだよね、撮影で』 なんと!! …そりゃあ来るわけないか(笑) 『了解。仕事頑張れ〜』 留理からサンキューのスタンプ。 なあんだ…変な心配しちゃったよ。 拓磨と留理を無理に結びつけようとした自分が 純夏はなんだか滑稽に思えてきた。 拓磨の会社に連絡してみようかな…。 LINEもメールもなかなか返ってこないし。 明日は休みだし、晩御飯にでも誘ってみよう。 会社の受付に電話をして、拓磨の部署を告げ、 繋いでもらう。 しばらくのお待たせメロディの後 電話に出たのは拓磨ではなく受付の女性だった。 「申し訳ございません、 坂本は有休休暇を取っておりまして…」 …え? 有休??? どこに…行ってるの?拓磨…??
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