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「悪かったわ、シャーロット。あなたも城で暮らしたらどう? そうね、私付きの侍女として。今よりはいい暮らしができるわよ?」
震える声でソフィア姫はシャーロットに懇願します。
シャーロットは嘆くように首を横に振りました。
「ああ、残念です、シャーロット。こんなにも私たちが似ていたなんて、あなたのご両親は嘘などついてはなかったのですね」
シャーロットの大きなエメラルドグリーンの目が濡れていました。
「ええ、本当に! 真実はもっと確認すべきだったと思うわ。今後はそうしましょう。だからねえ、早くこの縄を解きなさいな、シャーロット」
反省の色もなく苛立つように声を荒げたソフィア姫にため息をついた、いつわりのソフィア姫は執事に尋ねました。
「今もまだ嘘つきは斬首刑ですの?」
「はい、そうです。姫様はそう決めております」
ソフィア姫の目がカッと見開きました。
「そうよ! この嘘つきシャーロット! お前は私の名前を語った罰として斬首刑に処すわ、全くとんでもない嘘をついたものね」
「お黙りなさい、シャーロット。嘘つきはどちらだと思っているの? 私に恨みを持っているからといって、勝手に名前を語るなど!」
シャーロットの言葉に周りを見渡すと全員が責めるような目でソフィア姫を見つめていました。
ソフィア姫がワナワナと震える唇で次の言葉を探そうとした瞬間。
「私はもう斬首刑などしたくはありません」
いつわりのソフィア姫はニッコリと微笑みました。
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