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「もう二度とその口が誰かを傷つけたり欺いたりしないように舌を抜き、この国から追放してしまいなさい」
姫の言葉を聞いたソフィア姫が反論しようとした瞬間、その口に猿轡を噛ませ、近衛兵たちが城の地下にある牢へと引っ立てました。
ワァワァと喚き散らかし、大粒の涙を流したソフィア姫が去って行ってしまってから。
侍女がホッとしたように声を出しました。
「姫様、お茶を淹れましょうか」
「そうしましょう! 皆も疲れたでしょう? 城の庭にハーブがあるのを見つけたわ。美味しいハーブティーはいかが?」
姫の言葉に皆が微笑み、何事もなかったかのように穏やかな時間が戻ってきました。
あの日、自分がいつわりの姫で、明日で皆とお別れをしなければいけないことを泣きながら告白したシャーロットに全員が協力することにしたのです。
誰もが優しい笑顔の姫のことをたった数日で大好きになったからです。
冷酷なソフィア姫をいつわりとすることに誰一人反対したりはしませんでした。
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