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「このお肉の味付けは本当に素晴らしいわ、料理長。皆も召し上がってみて」
促されおずおずと口に運ぶ侍女頭に「ねえ、美味しいでしょう?」と微笑みかけた姫を見て、皆少しずつ笑顔が浮かんできました。
「テーブルの上の薔薇はどこで売っているの?」
「それは私がこの城の温室で育てている薔薇でございます」
端に座っていた庭師のヘンリーが恐る恐る手を挙げました。
「それは私も見られるかしら?」
「もちろん、お望みになればいつでも」
「では明日案内してくれる? こんなに美しくて大きな薔薇を作れるなんて、あなた天才だわ」
食事が終わるまでに姫は城にある畑のこと、大きな図書室のことなど皆に聞き周ると。
「皆に命令します、この三日で私に色々な場所を案内していただきたいの。だって全てが楽しそうなんだもの」
姫に違和感を感じながらも、ここに集まった全員が笑顔でした。
春の陽だまりのような笑顔を零す今日の姫は本当に美しく幸せそうに見えたので。
皆もとても幸せな気持ちになれました。
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