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本物のソフィア姫の方は、食事の時以外はベッドにいました。
人が変わってしまったように不愛想で不機嫌なシャーロットにシスターたちはどうしていいのかわかりません。
あんなにいい娘だったはずなのに、本当に何か悪い病気かもしれない。
そろそろ病院へ行ってはどうかと促されたソフィア姫はベッドの中で目を瞑ったまま答えました。
「明日一日寝てれば良くなるかもしれないわね。そうでなければ明後日の朝、病院へ行くわ。それまではここに食事を運んでもらえるかしら?」
(もう、ウンザリ。長いお祈りも、薄暗いテーブルや貧しい食事。それにこんな硬いベッドなんて)
「できればお食事は皆で楽しく頂きましょうよ、シャーロット。一日の楽しかったこと、ささやかな幸せを話すことは、あなたの生き甲斐だったでしょう?」
そんなものが生き甲斐ですって?! と口に出しかけて慌てて噤みました。
「結構よ、誰かと話すことは今は苦痛でしかないの。一人にしてもらえる?」
布団の中にすっぽりと潜り込み横柄な態度をとったソフィア姫に、さすがのシスターたちも眉をひそめました。
もしかしたらシャーロットは悪魔にでも憑りつかれたのかもしれないわね、と誰かが言った言葉に皆そっと頷きあいました。
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