干支が家にいる

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 うちには蛇がいます。  といっても本物の蛇ではなく、それは父親のことです。  父親はヘビ年で、何故か性格も蛇とそっくり。  誰かに嫌なことをされたら、家でずっと愚痴を吐いています。  とっても嫉妬深く、息子の僕でもちょっぴり引きます。  ぽっこりでたお腹はまさに鼠を飲み飲んだ蛇みたい。  加えてうちにはニワトリと犬がいます。  どちらも僕の姉です。  ニワトリの長女はその干支に相応しく、いつもバタバタと忙しなく動き回っています。  厄介なのは犬の次女。  自分の考えや成すことを否定されるとすぐ吠える。  黙っていてもすぐ吠える。  わがままとはまさにこの次女のことでしょう。  ニワトリが犬をくちばしでつつき、犬が怒って咆哮する姿は、うちでいつでも見られます。  そしてそれを止めるのは辰年の母親。  まさに全てを制する龍のように、二:人をなだめてしまうのです。  ちなみに逆鱗に触れると危ないところも龍と瓜二つ。  干支って凄い不思議だ。  十二個しかないのに、その人の性格を表しているみたい。  今日もうちには、ねちっこい蛇と忙しないニワトリと騒がしい犬と貫禄ある龍と、さびしがりやのうさぎがいる。
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