幸せの国

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***  翌朝、彼は朝食を済ませると荷物を持ち運びながら街を散策した。人々のぎこちない優しさに触れながらいろいろなものを見て回った。彼は散策の途中で街の東側で気になる場所を見つけた。興味を持った彼はその場所へと向かった。  そこは朝だというのに日の光が入ってこず、薄暗い場所であった。まるでその場所だけには蓋がされているように、日光が遮られていた。 「どうしてこんなところに人がいるんだ」  リベルは影の向こう側で誰かが話すのを聞いた。声の主は暗さのせいで確認できない。声色から男だと分かるくらいだ。 「どうしてこんなところに人がいるんだって聞いてるんだが?」  どうやらその男はリベルに話しかけているようだった。 「僕に話しかけているんですか?」 「お前以外に誰がいるんだよ?」 「そうですよね。えっと、僕は旅人でこの国にやってきまして……」  リベルの話を妨げるように男は口を挟む。 「そういうことじゃない。とはいっても、お前は旅人か。知らないのも無理もない。とにかく、この場所には来るな」 「どうしてですか?」 「理由は知らなくていい。お前は二度とこの場所に来るな」  男は冷淡にリベルをあしらうように言った。 「どうしてでしょうか? 理由を教えてくれませんか?」 「くどい。お前はここに来てはいけない。今すぐに去れ」  男に何を言っても無駄そうだったため、リベルはその場所を後にした。 ***  夜になりホテルに戻ると、リベルはその場所のことについてホテルマンに尋ねた。 「今朝、街の東の方で暗い場所を見つけたのですが、あそこはなんなのでしょうか?」
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