イミフ

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 うざい、うざい、うざい、うざい―――っ、死ぬほど(うざ)い!!!  私は(ため)を作ってこの上なく神経を苛つかせていた。 「(ねえ)ちゃん、どうした。顔が怖ぇんだけど?」 二つ下の弟が恐る恐る問い掛ける。 心の叫びだったはずが、うっかり口を吐いて出ていたようだ。 「……ごめん。ただ、友達を辞めようか否か真剣に悩んでるだけ」 頭を抱えて、私はコタツの盤上に顎を据え置いた。 「クッソ、むかつくんだわ……その子」 小さく零した私は、少しばかり殺意を纏っていたかもしれない。 「へぇ~、姉ちゃんに『友達』ってレアじゃねぇ?」 弟は目を瞠った。 「あんたね、私を何だと思ってるのよ?人付き合いくらいするでしょ」 高2にもなればそれなりにあって然るべきだ。 「人付き合いのレベルは友達じゃないじゃん?」 少しばかり嬉しそうに弟はコタツに入って来た。 「そう言うあんたは……珍しいね。どっか行かないの?」 弟は私と違ってアクティビティ。 受験生というのに大丈夫なのか?と、思わないでもないが、成績は一定をキープしているから親は何も苦言を呈さない。 学校から帰ってくれば、速攻で友達の家にでも遊びに行くのか、大抵は家にいない。 それが小学生の頃より続く彼の日常。 「行くよ?でもちっと早いから」 弟はTVゲームをし始めた。 それの何が面白いのか私には分からない。 ピコピコガチャガチャひたすら波動拳。 何がそんなに脳を刺激するのかまるで意味不明(イミフ)。 「辞めんなよ」 唐突に弟が呟いた。 「はぁ?」 「友達」 「その心は?」 友達の意味も私にはイミフ。 「大事だから。――多分ね」 そんなことは幼稚園児の頃より教わっている。 「――と思って、理解を示してきたよ」 でも、正直に言えば友達イコール、ストレスだった。  私は今朝のことを思い起こしていた。
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