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いつか君に伝えたい
「えーと、お肉は牛肉。しらたきは水を切って5センチ幅。玉ねぎは6等分。にんじんは……乱切り? 切り方忘れたから適当でいいや。最後にじゃがいもは一口大……ってどれくらいの大きさか、はっきり書いてくれないかな」
薄い紙きれを眺めながら、借り物の包丁でどんどん材料を切っていく。切った端から食材を鍋に放り込む要を部屋の奥から一花がチラチラ眺めてる。要はくるりと振り返ると、一花にパチリとウィンクして、包丁を握りしめたまま「まかせとけ!」とサムズアップしてみせた。
今日は一花に特製肉じゃがをご馳走する日なのだ。
「ねぇそのレシピ、岡田君直伝って本当?」
「うん。この間のお詫び代わりにレシピ教えてもらったんだ。颯太ってああ見えて結構料理上手いんだよね」
一花の眉根になぜか深く皺が寄るが気にしない。颯太曰く切って煮るだけの料理だから、そうそう失敗することもないだろう。
「そういえばさ、折原さんと市原さんってあの後結局どうなったの?」
ジャガイモの皮むきに手こずりながら要が訊ねる。
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