プロローグ

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プロローグ

『輝く黄金の髪色、全てを包み込む母なる海のように真っ青な目。候国では似ても似つかぬその容姿。それらを併せ持つ者が現れた時、平和で、安全で、綺麗な世界へと変わるだろう。』 「お婆ちゃん!この本、もう一回読んで!」 豊作の稲のように輝く金髪に、綺麗な海を思い出させるような青い目を持った男の子が本を抱えて走ってくる。その姿は、大好きな祖母に甘える可愛らしい孫の姿だ。 両手に抱えているその本の題名は、『和候国の伝説』。堅苦しいその名前の本は、本当ならばもっと年齢を重ねたら読むような代物だ。しかし、それを嬉々として持って来ている彼はこの『物語』の主人公と自分の容姿を重ねているからだろう。 この国では、黒髪黒目又は茶色目の容姿がほとんど。その為、彼のような“異色”はまだ受け入れられ難い。人目を引くその容姿に彼自身が嫌っていた。しかし、それは過去のことであり、『和候国の伝説』によりその姿は憧れの的へと変わったのだ。 「はいはい。またこれかい?本当、好きだねぇ」 「だって、この主人公と俺、一緒なんだもん!」 「……そうかい。なら、こんな話を聞いたことはあるかい?」 「なになに?どんなお話!?」 喜ぶ彼を見て、彼が呼ぶ“お婆ちゃん”は窓の外を見た。その顔は、少年の表情とは裏腹に何処か悲しそうな顔をしている。その顔を見て、少年は躍らせた胸をすぐに落ち着かせて静かに問うた。 「……お婆ちゃん?」 「あぁ、すまないね。ちょっと、思い出してただけさ。さて、話の続きをしようかねぇ」 心配している声で、少年はお婆ちゃんに話しかけるとその声に反応するかのように気を取り戻したようだった。そして、そのお婆ちゃんはゆっくり語り始めた。誰も知らない、、新しいお話を――――
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