月の旅

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ガタンゴトン、ガタンゴトン、 遠くからきた光が僕の顔を照らした。 これは夢なのか?そんな気持ちでその電車に乗った。 ガタンゴトン。ガタンゴトン。 電車は僕の部屋を出発した。どんどんと小さくなっていく僕の家。 僕は今空に浮いているみたいだ。いや、もう少し簡単に説明すると僕が乗っている電車が空へ昇っている きっと夢だろう。そんなことを考えてまた目を瞑った。 揺れが心地よくてすごく癒される。 ガタンゴトン。ガタンゴトン。 「つぎはぁー、○○。、○○。」 どこだ?聞こえなかったぞ?これはどこへ向かっているのだろうか。 「停車しました。○○。○○」 やっぱり駅名だけは聞こえなかった。 1人の女の子が乗ってきた。体にたくさん傷をつけた女の子だった。 「どうしてそんなに傷があるんだい?」 僕は声をかけてしまっていた。 とくに知りたい訳でもない。ただ気づいたら声をかけてしまっていた。 「おじちゃんしらないの?この電車」 「ああ。気づいたら乗っていたんだよ」 「そっか。いつか分かるといいね」 少女は微笑み僕の隣に座った。 妙にタバコ臭い、少女からこんな匂い普通するのか?親はどういう育て方をしているんだ。少し腹が立った。他人のことなのに何故か妙にむかつく。自分の子を大事にできないなら親失格だ。そんなことをひとりぐるぐる考えていた。 「おじちゃん。私もうすぐ行かないといけない。目的地に着くんだよ」 「そうかい、そうかい。君はどこに行くんだい?」 必死に笑っているような少女に目を向けた。少女は泣きもせず僕の瞳を見つめた。 「いいとこ!」 そういって消えていった。少女の座っていた席には1つ飴玉が置かれていた。
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