0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
「あかり、行こう」
移動教室で美術室へ向かう。
今日はスケッチの授業だ。
人物画で先生がモデルになり椅子に座った横からの姿をスケッチしろという事だった。
もしこの学校に美術部があれば、少しは楽しめたかな。
絵が好きなあかりはふと思った。
「よし!じゃあ出来た人から持って来てな」
あかりは最後の方に持って行った。
最初に持って行ったら、調子に乗ってるって思われるんじゃないかと思ったのだ。
先生に渡すと少し驚いたような顔をした。
「お〜、良いじゃないか!先生の腹が出てる特徴をちゃんと描いてるなぁ!」
後ろから笑い声が聞こえる。
あかりは顔を赤らめた。
先生!声がデカいよ!!
心でそう叫んだが、先生は絵を皆んなに見せて言った。
「これは見本になるぞー!ここに貼っておこう!」
先生は黒板横の掲示板にあかりの絵を貼った。
あかりは何も言わずに自席へ戻った。
座ると心臓がドキドキしすぎて口から飛び出しそうになっていた。
こんな時、少しでも皆んなの前で笑えたら良かったのにな…。
最初のコメントを投稿しよう!